トップの現場の判断

 本日の朝日の記事にTDLの人材育成に関する書籍「ディズニーの教え方」の紹介記事が載っていた。9割がバイトでも高い顧客満足度を得る最高のスタッフが育つ理由に関するもの。スタッフに「自由に考え行動できる最良を与える」というのが重要だそうだ。マニュアルに忠実な人材を育てるのではなく、会社のミッションを示し、自主判断を重視するのだという。ミッションを明確に示し、行動指針をそれに基づき優先順位を付けて4つ(「安全」、「礼儀正しさ」、「ショー」。「効率」)示している。
 先日の地震の際にスタッフがとった行動は、アトラクションの外に客を誘導するところまではマニュアル通りだったが、その後、店舗の商品である菓子類を配り始めたり、通常見せてはいけないバックヤードを退避経路に使ったのは現場の判断だったそうだ。行動指針の優先順位の最上位が「安全」であることを理解していればマニュアルがなくても行動できるのだが、これは言うほどやさしいことではない。行動指針自体は多くの組織の中で示されていると思うが、想定外の事象に対応する実際の行動に結びつけられるだろうか?
 マニュアル通りに行動することを意図した教育だった場合には、マニュアルにないことが起きた瞬間に対応できなくなる。そして誰もが指示待ちになり、時間だけがむなしく過ぎていくことになる。震災の際の東京電力や国などの対応と比較するとわかりやすい。
 危機管理は経営のテーマにしばしばなるが、とても難しいテーマだ。皆がついていくわかりやすい理念と明確な行動指針を示せるかどうか、そしてそれを表面上ではなく本当の意味で浸透させられるかが鍵になるのだろう。